磁気探傷試験の特徴
試験対象
・試験対象材は強磁性体(磁石に吸着される物質)で鉄,コバルト,ニッケルなどになります。

・交流・直流磁化により試験体にきずが存在しているときず部に漏洩磁束が生じます。

他の非破壊試験方法と比較
・試験対象は強磁性体に限られます。
・きずは表面及び表面直下が検出できます。
・きずの位置・形状・大きさの情報は得られるが深さ寸法の情報は得られません。
・全方向のきずを検出するためには2方向に磁化が必要となることがあります。
磁気探傷試験の基礎
交流・直流磁化により試験体に磁束が生じます。試験体の表面または表面直下にきずが存在するとその部分の磁気抵抗が急増し空間に漏洩磁束が発生します。漏洩磁束によって吸着した磁粉が形成され磁粉模様となり肉眼で識別が可能となります。

磁気探傷試験の適用対象

試験体全表面の全てのきずを見つけるために2以上の磁化方法が必要となることがあります。
磁気探傷試験の適用例
発電設備・石油・化学プラントにおける構造物溶接部の磁気探傷試験をご紹介します。


磁気探傷試験装置


・磁化器
鉄心にコイルを巻き電流を流すと電磁石となり,電磁石の極を試験体に接触させると鉄心内に発生した磁束が試験体を磁化させます。
・ブラックライト
波長の365nm付近が最大強度となり315~400nmの範囲の紫外線を照射させる装置です。
・検査液(蛍光磁粉)
きずが肉眼で明瞭に識別でき,磁束により磁粉模様が形成できる性質を有する。ブラックライトに照射されると黄緑色に輝き,きずの磁粉模様を容易に発見できる。検査液は水を分散剤として界面活性剤及び防錆剤も含みます。
・対比試験片
A型標準試験片は装置,磁粉,検査液の性能及び試験体表面の有効磁界の強さや方向,探傷有効範囲の適否を調べるものです。

磁粉模様の観察
磁粉模様の観察は磁粉模様が形成された後に行います。
