渦電流探傷試験の特徴


・交流磁界により,試験体表面におけるきず・変形等が検出対象となります。
熱交換器に発生したきずの例
割れ


他の非破壊試験方法と比較
・探傷速度が高速で探傷ができます。
・きず等の種類・形状・寸法が正確に判別できません。
渦電流探傷試験はきず等の変化をコイルインピーダンス変化ととらえ,きず等を検出し評価します。

渦電流探傷試験の適用例
発電設備・石油・化学プラントにおける熱交換器チューブの保守検査での渦電流探傷試験をご紹介します。

探傷試験装置


・対比試験片
対比試験片は試験対象チューブと材質・寸法が同一のものを使用します。対比試験片に加工する人工きず
は,試験対象チューブに発生する自然きずの近い形状を予測することにより評価精度が向上します。また
,きずの減肉率を評価するにあたってはチューブ内外面の深さ方向に2~4段階(例えば減肉率20,40,60,
80%)の加工をします。

・センサー
コイル形式は検査対象や検出すべききずの形態により,各種の形式があり,ここでは代表的な同軸プローブを示します。

・渦電流試験器
試験器は材質試験,膜厚測定等の種々の目的で使用され,チューブの保守検査では試験コイルに2つ以上
の試験周波数を同時に加えて試験を行う多重周波数の装置が用いられます。
・記録計
各々の信号を選定してチャートとして記録します。
・記録媒体
試験データは記録計出力のチャート(紙媒体)やDVDなどの電子媒体に記録できます。
位相解析によるきずの評価方法
渦電流探傷試験は適正な周波数を用いて探傷すると、きずによる各々の深さ方向(減肉率)に対するベクトル波形が分離性の良い位相となります。基準きず(貫通穴)の位相角を一定に設定することにより検出したきずを減肉率として数値化できます。またチューブの内面か外面に発生したきずであるかを識別できます。

きずの評価
きずは対比試験片による探傷データをもとに作成した減肉率校正曲線と照合し減肉率を算出します。
